

日本では古くから、魚類の王様とされてきた鯛。色と姿が美しく美味なうえ、語呂があうこともあって、「めでたい」魚とされ、祝い膳などに出されてきました。
神宮でも、 神嘗祭(かんなめさい)などで供える神饌(しんせん)約30品目の中にも、必ず登場します。
干鯛(ひだい)は平安時代から、伊勢湾にある篠島(しのじま)という所で作られてきました。ここには、神宮御料干鯛調製所という神宮付属の施設があります。
長期保存のため、樽の中で塩漬けにして固めた後、海辺で天日にあて乾燥させます。身を開くための竹串や天日に干すための台なども天然の素材だけを使って作られたものです。
こうして丁寧に作られる鯛の干物は、1年間で大小あわせて約500尾、年三回神宮へ奉納されています。規格の寸法にあった鯛を祭典ごとに納めるのは、たいへんな苦労です。
干鯛は鮑(あわび)と並んで、人の手によって古代のままに奉製されているものの代表格と言えるでしょう。
全ては自然の恵みと神々への感謝を込めて代々受け継がれて来たものです。
私たちも“いただきます”と“おかげさまで”の心を永久に受け継いで行きたいと思っています。
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