

風の匂いや空の高さに少しずつ秋の気配も感じられるようになりました。海の幸もそろそろ秋のものが出て参ります。金華さばもそのひとつですが、そのような種類のサバがいるという訳ではありません。金華さばは、秋から冬にかけて南三陸の金華山周辺海域で穫れる真さばのことです。
一般的にサバは、エサを求めて海を回遊しながら過ごす魚です。ところが、黒潮と親潮が混ざりあう金華山周辺は、エサが豊富なため、この近辺に住むサバはここをほとんど動きません。回遊をせずに豊富なエサをたっぷりと食べられるので、上質な脂が身に入り、そのなかでもさらに選びぬかれた一部のサバのみが、「金華さば」になれるのです。
大きな身にたっぷりとのった良質な脂は、これからの旬の季節には20~30%にもなるといわれ、醤油をかけても弾いてしまうほどなのだとか。一方で、濃厚ながらも脂が口の中でさっと溶けてしまうので、しつこくなくて食べやすいのも人気の秘密のようです。
また、魚の脂には中性脂肪や動脈硬化のリスクを減らしてくれるEPAやDHAといった栄養素が含まれています。脂の多い金華さばには、この栄養素が通常のサバより多く含まれているので、「おいしくて体にもいい」という、まさに理想的な食べ物なのです。足が速いと言われるサバもシメサバにすれば美味しく保存も出来ます。それを棒寿司にすれば、別格の味わいが楽しめます。栄養豊かで美味しい金華さばをぜひ一度お試し下さい。
私たちは毎日、大切な命を頂いて命を繋いでいます。季節の恵みに心を込めて“いただきます”の気持ちを忘れずに過ごしたいですね。
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