鮭事典
鮭の事典【サケのこともっと知ろう!】もっと鮭のこと知れば、もっと美味しくなる。魚職人が教える美味しい鮭のいろいろ、「鮭の事典」。
日本でもっとも有名な白鮭 鮭のいろいろ 鮭の栄養 鮭の種類
日本でもっとも有名な「シロザケ」
白鮭(しろざけ)我々日本人が鮭(サケ)という場合にはシロザケのことを指します。日本で獲れる鮭のほとんどはこのシロザケです。普通の呼び方の他にも「シャケ」「秋味(アキアジ)」(ともに鮭の別名)「時不知(トキシラズ)」(春から夏にかけて捕獲される鮭)など、地方や成長具合によって様々な呼び方があります。

シロザケは暖かいところよりも寒いところを好みます。従って、シロザケの生息地域も北海道や本州北部に多く生息しています。生息している川も日本北部がほとんどですし、海にいる間も暖流ではなく寒流にいます。水揚げ量の多い地域が北海道や東北地方なのはそれが理由です。

シロザケの生態は、我々がイメージとして持っている鮭の生態そのままだと言っていいと思います。シロザケは川の上流で冬場に孵化し、5~6cmくらいになるまで川で過ごし、成長して春になったら一斉に海に出て行きます。海に出た後は3~6年間をそこで過ごし、その後の秋口になったら逆に一斉に生まれた川に戻っていきます。そして上流にまでたどり着くとそこで産卵し、産卵した後はまるでこの世での役割を終えたかのように数日で絶命します。これが一般的なシロザケの一生です。

目近(めじか)
シロザケの種類のひとつにメジカ(目近)という鮭があります。

メジカは眼が近くに寄っているように見えるところからそう呼ばれています。

定置網で1千尾に一匹程度のわりあいで捕獲され、北海道では10数年前にケイジ(鮭児)が知られるまで、メジカは国産秋鮭の最高峰として知られておりました。
鮭のいろいろな加工法
本チャン(ほんちゃん)
簡単に言うと、紅鮭の最高級品です。北海道千島列島沖で漁獲された若い鮭で、脂肪を多く含み、漁獲後直ちに船上で塩蔵処理し、帰港迄の間、魚蔵で熟成される為、大変美味となります。中でも千島列島南部の太平洋沖で漁獲されるものは、特に脂肪分が豊富で「本チャン紅鮭」の中でも最高級品と言われています。
新巻き鮭(あらまきざけ)
冷凍技術が発達していなかった頃、産卵期に川で大量に漁獲されるシロサケ(秋味)を保存するため、内臓を抜き塩をつめた。昔はこのサケを保存したり運ぶ時、荒縄、菰等で包んだり吊るしたりししていたので、「稲巻」「わら巻き」がいつのまにか「アラマキ」と呼ばれる様になったと言われています。
現在では塩をまぶした鮭を新巻き鮭と呼ぶようになっています。
山漬け(やまづけ)
内臓を抜き塩を詰めた鮭を、塩と交互に挟む形で脱水および熟成させたもので、山のように積むことから「山漬け」と呼ばれています。ものすごく辛い鮭ですがうまみが強く非常においしい製法です。しかし非常に手間がかかる上に脱水が強いため歩留まりが悪く、コスト高となり、一時期は生産がほとんどなくなりましたが、現在は高級食材として復活しつつあります。
定塩法(えんていほう)
店頭で販売されている塩鮭の多くはこの定塩法で加工されたものです。これは、鮭半身を塩水に浸け、塩分を滲み込ませることで塩味をつけるという加工法です。新巻、山漬と比較して塩分が均等になる(=定塩)ため、生産性、味も安定していて、現在主流の方法です。
鮭の栄養
鮭(サケ)は良質のタンパク質、ビタミンA、D、E、
色素要素「アスタキサンチン」を豊富に含んでいます。
タンパク質
鮭のタンパク質は非常にすばらしく、消化吸収がよく、胃腸の弱い病人や子供、お年寄りにもやさしく作用します。
ビタミンA
ビタミンAは目や皮膚の粘膜を正常に保ってくれる上、優れた抗菌作用でガンの予防にも期待がされているビタミンです。
アサタキサンチン
鮭の赤い色素を構成している「アスタキサンチン」。このアスタキンサンチンはカロテノイドの一種で、非常に強い抗酸化力により、活性酸素の害を防ぐ能力が大変強いのです。動脈硬化、ガンなどの生活習慣病予防、老化、日焼けによるしみそばかすの改善につながるとされています。
鮭の種類
魚種 商品名 旬 一口特徴 特徴
サケ(シロザケ)
トキシラズ
(時不知)
トキサケ
(時鮭)
若い鮭
脂乗り
ロシア生まれ
アムール川など主にロシア産の鮭が北北海道沿岸を回遊中に漁獲されたもので、成熟までに間がある若い鮭で、脂が乗って美味な種類(天然)である。
ケイジ
(鮭児)
秋
幻の鮭
小ぶり
希少価値
その年には成熟しない若い鮭で、北海道沿岸を回遊中に漁獲されたもので、1万本に一本の確率なので幻の鮭と言われ、高値で取引されている。
メヂカ・メジカ
(目近)
秋
若い鮭
脂乗り
日本生まれ
本州産の鮭と言われ、北海道、東北沿岸で1千尾に一本と言われるほど少量、漁獲される。目近(メジカ)は、その名の通り目が近い・目が口に近いことからこの名がある。回帰途中のため脂乗り、も良く、魚体も大きく美味しい。
ぎんけ(銀毛)
アキサケ(秋鮭)
アキアジ(秋味)
秋
一般的な鮭
新巻き鮭
秋にもっとも多く出回る一般的な鮭。生まれた川の近くの沿岸で定置網で漁獲される。
カラフトマス
マス(鱒)
アオマス(青鱒)オホーツク
サーモン
初夏~初秋
サケ缶に多く
使用
北海道東部沿岸で多く漁獲されるほか、ロシアからの輸入もある。サケ缶にはほとんどこの種類を使用している。市場価値は高くないが、おいしい鮭の仲間である。
サクラマス
マス(鱒)
ホンマス(本鱒)クチグロ(口黒)
冬~春
身が赤い
味が濃く美味
道南や、日本海沿岸で端境期に漁獲される美味な魚種として人気がある。富山県の鱒ずしに使用される。
ベニサケ
ベニサケ
(紅鮭)
夏
淡水もの
流通量少ない
北米やロシアで漁獲され輸入される。もっとも赤い身でうまみの強い鮭で、塩サケに向いている。北海道沖(ロシア海域)で水揚げされたものが、北海道産となる。
ヒメマス
ヒメマス
(姫鱒)
初夏~初秋
天然は
北米、ロシア
養殖が盛ん
淡水養殖、または一部の湖で漁獲されるが、なじみのない種類。
ギンサケ
ギンサケ
(銀鮭)
春~夏
天然は北米
養殖が盛ん
北米やロシアで漁獲されるが、国内外の海での養殖が盛んな種類。
マスノスケ
キングサーモン
春~初夏
天然は北米
養殖が盛ん
北米などで漁獲されるほか、チリ、オーストラリア、ニュージーランドなどの海で養殖されたものが輸入されている。
マスノスケ
(鱒之介)
キングサーモン
春~初夏
日本生まれ
ではないが
少量北海道産
日本の川には溯上しないが、えさを求めて回遊中に北海道の太平洋沿岸などで少量漁獲される。脂乗りがとてもよく美味。
ニジマス
トラウトサーモン
トラウト
春~秋
北欧、チリ
の養殖
北欧やチリでの養殖物が多く流通してる。脂乗りは良いが、味の評価は分かれる。
タイセイヨウサケ
アトランティックサーモン
キングサーモン
北欧サーモン
冷凍
養殖もの
脂乗りが良い
ノルウェーやチリ、オーストラリアなど、世界各地で養殖されていて、脂がたっぷりのっている。