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「秋味(あきあじ)」と呼ばれる旬の鮭

日毎に秋も深まり、過ごし易い季節になりました。
鮭は一年中出回っていますが、産卵のため川を遡上する秋が旬です。この産卵前の脂がのった鮭を「秋味(あきあじ)」といいます。上流にのぼるほど味がおちるので、川にのぼる前にとれたものが美味しいと言われています。(川に戻る直前は銀白色の体色をしていて「銀毛」と言い、最高級とされます。)川を遡上する頃には黒、黄、桃色の混じった雲状紋の婚姻色が出てきます。
古くから食されてきた鮭は、地方や成長具合によって様々な呼び方があります。春から夏にかけて北海道沖でとれる鮭は「時知(ときし)らず」・「時鮭(ときさけ)」と呼ばれ、味も上質なことから珍重されています。「秋味」と同じ白鮭です。
種類別で旬を言うと、白鮭の他に銀鮭、樺太ますが秋。キングサーモン、桜ますは春。紅鮭、琵琶ますは夏になります。

日本の食卓に欠かせない鮭ですが、実はスーパーアンチエイジングフードとして世界的にも注目されています。良質なタンパク質が豊富で低カロリー・低脂肪、さらにビタミン類も多いうえ、強力な抗酸化作用を持つアスタキサンチンも含まれているからです。つまり老化を防ぎ、動脈硬化や心臓病の予防にもなるということです。おなじみの食材にそんな凄い効能があるなんて驚きですね。

秋の稲佐の浜
狩猟採集民であるアイヌの人にとって、毎年秋になると遡上してくる鮭は、シベ(本当の食物)であり、カムイチェップ(神の魚)でした。
サケの不漁は飢饉が襲ってくることであり、絶対避けなければなりません。
そのためアイヌにはサケに関する行事や習慣がいろいろあります。

その教えや言い伝えは、巧(たく)まずして鮭の生態や古人の知恵を表していることが多いのです。たとえば、上り始めの鮭は、水源を守るキツネの神様の分で捕ってはならない、つぎの鮭は他の神様の分、それから人間の分と考えられていました。鮭を神様や森の生物と分け合うことで乱獲を防ぐとともに翌年の鮭の豊漁を祈願していたのです。“共に生きる”ということですね。

また、漁獲するのは主にオスや産卵後のホッチャレでした(川に帰ってきた鮭をホッチャレと呼びます)。これらはオスのほうが美味しいとか、脂が少なく長期保存に適しているなど、実利的な生活の知恵でもありましたが、結果としてはサケを保護する術となっていました。産卵後は食べられなくもないのですが美味しくはありません。鮭は遡上して産卵するまでに体に貯めたエネルギーを使い果たすからです。

アイヌの信仰では、あらゆるものに“魂”が宿っており、中でも動植物、火、水、生活道具など人間の暮らしに関わりの深いもの、あるいは自然現象など人間の力の及ばないものの多くを「カムイ」として敬いました。このあたりの考え方は、八百万神(やおよろずのかみ)と似ていますね。自然の大いなる営みに感謝して、その営みを壊さない事が大切なのです。

いろいろと美味しいものが出回る秋、海の幸、山の幸、すべてに命が宿っています。特に旬のものは私たちの命をつなぐ栄養がたっぷり詰まっています。今が旬の「秋味(あきあじ)」もその一つです。

これからも、自然が育んだ大切な命を頂くことに感謝しつつ、皆様の食卓に“いただきます”の元気な声が響き続けますように。

出雲大社 神迎神事(かみむかえしんじ)

<わたしたちは伊勢神宮・出雲大社 奇跡の両遷宮「神の宮」 増浦行仁写真展に協賛しています>

増浦行仁
増浦行仁プロフィール

1963年生まれ。1981年渡仏。1983年 VOGUE(Paris)ギィ・ブルダンのアシスタントとなる。1987年サロン・ドートンヌ入賞。ルーブル、オルセー、パリ近代美術館、ロダン美術館にてポスト印象派の彫刻を撮影。1988年フランス国立図書館に作品31点が永久保存される。2002年、フィレンツェのカーサ・ブオナローティ(ミケランジェロ美術館)を皮切りに、2003~4年日本国内各地にて『GENESIS』(ミケランジェロ作品集)展開催。2006年より神宮司庁の許可を得、伊勢神宮「第62回式年遷宮」ならびに2008年より出雲大社「平成の大遷宮」の撮影をそれぞれ開始する。2013年5月に出雲大社、10月に伊勢神宮の正遷宮(神体の渡御)が行われるまで撮影に従事。これらの撮影作品は『神の宮』として国内外で巡回展を開始。同時に日本の精神文化、その自然観と伝承知による地球40億年の生命の継承を伝える「神の宮共働態」を結成。 写真集『GENESIS』『天狗の棲む山』、関連書『おれは土門拳になる~“奇跡の光” にたどり着いた写真家・増浦行仁の生き方~(村尾国士/著)』

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